労務というと、従業員の労働に付随する業務を指します。ざっくり言うとお給料回りの事務作業が多いです。会社によっては労務の単体部署のこともあれば、人事や経理の中に属す場合も。
労務とは、従業員の労働環境を整えるための業務
労務の主な業務は、給与計算・勤怠管理・保険/税金の手続き・福利厚生業務・安全管理・就業規則作成・労使関係管理などがあけられます。
労務の主な業務を具体的に
給与計算
毎月行われる業務。従業員の給与を勤怠情報をもとに算出します。
給与を構成する一般的な項目は下記の通り。
【支給項目】基本給・職務手当・残業手当・通勤手当・家族手当・住宅手当など
【控除項目】所得税・住民税・健康保険料・介護保険料・厚生年金料・雇用保険料など
【支給項目】ー【控除項目】=振込給与額(手取り額)
上記項目は、期首に決定すると期末まで固定金額のもの(A)と毎月流動的なもの(B)があります。
出勤簿やタイムカードなどから勤怠状況をチェックして、(B)にあたる残業手当や通勤手当(パート勤務者)を(A)の固定給に加算して所得税の計算を行います。個々の流動的な金額を確定した上で給与支給額を計算します。
個々の従業員の給与計算ができたら、経理が給与や税金を振込をするための一覧表を作成します。
従業員に渡す給与明細の作成をします。従業員が多いと膨大な手間や費用がかかるため、最近はWEB上で給与明細が見られるシステムを導入している企業も多いですね。
勤怠管理
毎月の締め日の後に、出勤簿やタイムカードなどから勤怠の状況を確認します。
主に残業時間と有休休暇の消化、パート勤務者に対しては出勤回数のチェックをします。その結果、給与計算における残業手当や出勤手当、欠勤控除などに反映されます。
保険の手続き
一般的に労務で手続きする保険は、健康保険・介護保険(40歳以上)・厚生年金保険・労働保険の4つです。
健康保険
病気や怪我やそれによる休業、出産などに備えて加入する医療保険制度です。正社員じゃなくても勤務の一定の要件を満たせば加入要件となり、加入した被保険者と事業主が保険料を負担しあっています。また要件を満たした扶養家族も被保険者となります。
介護保険
介護を必要とする人に対して介護費用を給付する保険で、40歳になると加入義務が生じ、64歳までの被保険者は健康保険と一緒に徴収されます。
厚生年金保険
原則65歳からもらえる年金支給に備えて、会社員や公務員が加入する公的な年金制度。保険料は、加入した被保険者と事業主で折半して負担しています。
労働保険
労災保険と雇用保険を総称した保険を労働保険といいます。
労災保険は、業務上の理由や通勤で起きた傷病、障害、死亡時に対して給付と一時金が給付される保険です。保険料はすべての労働者に対して全額事業主側が負担しています。
雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のための保険です。保険料を加入した被保険者と事業主が折半で負担しています。
失業時に手当を受ける「求職者給付」、育児・介護休業時の収入を補償する「雇用継続給付」、早期に再就職した時に受給できる「再就職手当」などの「雇用促進給付」、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される「教育訓練給付」などがあります。
保険手続きのスケジュール
従業員の入社時
正社員以外にも、要件に該当する従業員は加入させる必要のある保険
・健康保険、介護保険、厚生年金保険 → 申請先:日本年金機構
・労働保険 → 申請先:所轄の労働基準監督署
定期的に行う手続き
*毎年3月分(4月納付分)から健康保険料と介護保険料の料率改定が行われます。
*雇用保険料、労災保険料も料率の改定が適宜ありますので、情報のチェックが必要となります。
*毎年6月20日~7月10日の間に、労働保険料の申告と納付を行います。
*毎年7月に日本年金機構に対して「基礎算定届」を提出します。これは社会保険に加入している従業員の4月・5月・6月に支給した給与を報告することで、10月以降の社会保険料の改定金額を決定するための手続きです。
*賞与支払い日の5日以内に賞与支払届を提出します。これにより提出の翌月に賞与分も加算した社会保険料を納付することとなります。
住民税の手続き
1月に従業員の住む自治体に「給与支払報告書」を提出します。これは前年の1月~12月の源泉徴収票をもとに、6月から支払うべき特別徴収の住民税を確定させるための手続きとなります。
※特別徴収の住民税:年間の住民税を4期に分けて支払う普通徴収に対して、会社などに所属して住民税を支払う給与がある従業員は毎月給与から住民税が天引きされる仕組みとなっており、これを特別徴収と言います。
これらの他にも福利厚生や安全管理、就業規則作成、労使関係管理などの業務があります。これからのブログで具体的なことを書き進めていきます。